米国全土での同性婚を認める判決、性的少数者の自殺やうつ病比率の低下につながるか - QLifePro 医療ニュース

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 婚姻は多くの法的な保護や利益をもたらすが、結婚によって得られる安心感や幸福感も、カップルにとっては同じくらい重要なものだと専門家らは説明している。

米ケント州立大学(オハイオ州)教授のSusan Roxburgh氏は、結婚による利益の一部には社会的制御や社会的支援があると指摘し、結婚している人は心身とも健康状態がよく長生きする傾向があり、自殺やうつ病の比率も低いと説明している。米ウェイク・フォレスト大学(ニューヨーク州)教授のRobin Simon氏によると、結婚せずに同棲するカップルに比較しても、既婚者の方が精神的充足に優れているという。

同性婚に反対する人々の多くは、結婚とは別の制度としてシビル・ユニオンという概念を支持しているが、ニューヨークの精神科医Jack Drescher氏は、結婚に求められる社会的利益と法的保護を分けて考えることはできないと指摘する。「結婚は2人の関係にも家庭にも安定をもたらす。しかし、結婚を否定されることによる混乱は、多大な不安や不確実性を生じさせる」と同氏はいう。

精神疫学者のIlan Meyer氏は、「結婚の権利をすべての米国人に拡大することは、性的少数者への偏見に対抗するための象徴的な表明になる。たとえ同性愛者のカップルが自分たちの関係に満足していても、それを結婚とは異なるカテゴリーとして区別するなら、社会はその関係を汚点とみなしていることになる」と説明する。性的少数者を結婚という制度の対象に含めることは、敬意、尊厳、一体性という強いメッセージを送ることで拒絶を覆すものであると、同氏は付け加えている。

自分が誰に惹かれ、誰と人生を築いていきたいかということに関して、結婚はまさに核となるものだとMeyer氏は指摘する。「1964年に公民権法が成立しても人種差別が終わっていないように、これで同性愛嫌悪がなくなることはないだろう。しかし少しずつ崩すことはできる。同性愛者は劣っていない、平等だと宣言するものである」と同氏は述べている。