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寂しげな校内に、不思議な雰囲気が漂う。屋上や体育館などあちこちで、金、銀、オレンジのカラフルな髪の若者が、楽しそうに写真を撮り合う。過疎化に悩む福岡県鞍手町の廃校を使ったコスプレイベントだ。町はアニメのキャラクターになりきりたい若者の「聖地」として、地域活性化をもくろむ。

 廃校になった鞍手南中学。若者が昨年12月、学園を舞台にしたバレーボールアニメの人気キャラクターになりきっていた。派手な髪は衣装の一部だ。

 「学校の全施設で思う存分コスプレ姿を満喫できる場所は、ほかにない。好きなシーンも演じられる」

 福岡市東区のアルバイト女性(19)は、フィギュアスケートのアニメ「ユーリ!!! on ICE」のロシア選手姿で話した。屋上や黒板がある教室内で、友人と記念撮影をしていた。

 校舎内はコスプレ姿で、一眼レフカメラを持った若者でにぎわう。高校生以上なら誰でも参加でき、利用料は1千円。初めての参加者は「学生証」を受け取る。

 ◆消滅の危機

 町の危機感は強い。旧炭鉱地帯にある鞍手町は、炭鉱の衰退と少子高齢化が影を落とす。昭和30年に約3万人いた人口は約1万6千人に減った。平成26年には民間研究機関が「消滅可能性都市」と指摘し、福岡県内の自治体でワースト1位だった。

 27年に別の中学校に統合された鞍手南中の跡地利用に頭を悩ませていた町に、福岡市の企画運営会社役員、重松克則氏(54)がコスプレイベントを提案した。重松氏は、それまでにイベント主催の経験があった。町は毎月数回、校舎をファンに開放することを決めた。

 今では毎月のイベントに、広島や島根など県内外から約250人が、衣装を入れたキャリーバッグを片手に訪れるまでになった。

 ◆国も支援

 27年11月、内閣府の地方創生先行型事業に選ばれた。3750万円の助成を受けて校舎の水道や電気などを整備した。翌年には3千万円の地方創生加速化交付金を改修費用に充てた。

 重松氏は地元有志と合同会社「くらて学園」を発足した。コスプレ姿での結婚式も検討しており、アニメファン向けに施設の充実も進めていく。

 町地域振興課の立石一夫課長は「多くの若者を呼び込めるのが魅力。新たな観光資源をつくり人口減の町に活気を取り戻し、移住者を呼び込みたい」と意気込んでいる。


出典:廃校をコスプレ聖地に 福岡・鞍手町、若者イベントで活性化 - 産経ニュース