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現在、米国の科学者たちが製作した「嘔吐マシーン」が海外メディアの注目を集めている。この摩訶不思議な装置、その見た目のシュールさとは裏腹に、極めてマジメな理由で誕生したようなのだが......早速、詳細についてお伝えしよう。

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■「嘔吐マシーン」誕生の経緯

 今月19日、「NBC NEWS」などが報じたところによると、このたび「嘔吐マシーン」を開発したのは、米・ノースカロライナ州立大学のリーアン・ジェイカス博士らの研究チームだ。この装置は、人間の"嘔吐"を4分の1スケールで忠実に再現することができ、さらに嘔吐物の量や濃度、圧力までも正確にコントロールすることができる優れもの。では、博士たちはなぜこんなモノを生み出してしまったのか?

 それは、時に集団感染などを引き起こして私たちを苦しめるノロウイルスなどの病原体が、感染者の"嘔吐"によってどのように外部に排出され、広がるのかを調べるため。米国ではノロウイルス感染者が毎年人口の約10%に上るとの報告もあり、深刻な問題となっているが、その感染経路にはまだまだ謎が多いとされる。そこで今回、ジェイカス博士らは嘔吐に的を絞って、感染経路としての危険性を正確に示そうとしたわけだ。そして実験の結果、案の定と言うべきか、嘔吐はかなりヤバいことが判明したのだった。


■嘔吐物に近寄るだけでウイルス感染!?

 研究チームがオンライン学術誌「PLOS ONE」上に発表した論文によると、装置から吐き出された嘔吐物に混入したウイルス粒子は、ほとんど嘔吐側つまり液体中に留まっていた。ところが、そのうち0.01%のウイルス粒子が「エアロゾル化」、すなわち空気中に分散していたというのだ。たった0.01%であれば......と考える人がいるかもしれないが、エアロゾル化したウイルス粒子の総数は数千にも達する。人間は20〜1,300のウイルス粒子を受け取ることで病原体に感染してしまうため、たとえ嘔吐物に直接触れるなどの行為がなくても、空気を通して十分に感染するリスクがあることが判明したというのだ。

 なお、一連の実験はノロウイルスの代わりに無害化したウイルス「バクテリオファージMS2」を用いて行われたとのこと。ノロウイルスであれば、毒性が数週間維持されるため、感染者が吐いた嘔吐物の周囲では感染リスクの高い状態が当分の間続くことになるようだ。ちなみにジェイカス博士らの次なる目標は、この「嘔吐マシーン」を用いて、ウイルス分子が生き延びる正確な期間や、どれくらい空中を移動するかを調べることだという。


 人類にとってこの不思議な顔の「嘔吐マシーン」が、ウイルスとの闘いに勝利するための強力な助っ人となってくれることを期待せずにはいられない。



出典:人類を救う「嘔吐マシーン」を科学者が製作!! 驚愕装置の誕生理由とは!?=米 - BIGLOBEニュース