性的少数者「LGBT」への理解を深めてもらおうと、女性同性愛者のレズビアンであることを公表している東北芸術工科大学大学院修士2年のヒノヒロコさん(24)が、日常の姿を写した作品を9日に山形市上桜田の同大アトリエで発表する。ヒノさんは「性的少数者も普通の人と変わらない日常を送っていることを感じてほしい」と呼びかけている。
ヒノさんが制作したのは「レズビアンの日記」と題した作品。24年間の人生の中で、自身や親しい人たちを撮った写真365枚を集めた。写真にはその瞬間にヒノさんが感じた言葉を添え、日記風に仕立てた。交際中の彼女と初めて行った温泉旅行や、親友との海水浴の写真など、日常を切り取った作品が、ずらりと壁に貼られている。
「デートしたり、友達や家族と過ごして楽しいと思ったり、性的少数者が日常感じていることは皆さんと変わらない」とはにかむ。
自身がレズビアンであることを自覚したのは、小学校3、4年の頃。運動会で男子顔負けに足が速い女子の姿を見て、「かっこいい」と感じた。「初めは憧れだと思ったが、手をつなぎたいという思いがあふれてきて、恋なんだとわかった」。しかし、女子の恋愛話は男子に偏った。「バレンタインはどの男子にチョコあげるの?」と尋ねられると、意中でない男子の名前を挙げてやり過ごした。「『女の子が好き』とは言っちゃいけないことなんだ」と気持ちを抑え込んだ。
中学に入って、同級生の女子に恋をした。相手はレズビアンではなかったというが、告白したら受け入れてくれた。周囲に内緒で交際を続けたが、大学院1年の時、「やっぱり男の子が好き。女の子とは付き合えない」と、別れ話を切り出された。「私は変なんだ」と、レズビアンである自身が「普通」でないと改めて感じた。
その後も失恋を経験し、傷心を癒やそうと、性的少数者が集まる東京・新宿二丁目に遊びに行った。レズビアンたちが集う店で出会った女性たちは、自らの性的
今後の目標は、性的少数者が普通の人と変わらぬ日常を送っていることを教育現場で発信すること。出前授業やワークショップで参加者に自身の7日間の日記を書いてもらい、ヒノさんの日記と比べてもらう計画だ。「私たち性的少数者は本当に『普通』でないのか、問いかけていきたい」
展示は入場無料で、14日までの午前10時~午後5時に行われる。
◇LGBT…女性同性愛者のLesbian(レズビアン)、男性同性愛者のGay(ゲイ)、両性愛者のBisexual(バイセクシュアル)、心と体の性が一致しない人を指すTransgender(トランスジェンダー)の頭文字を組み合わせた性的少数者の総称。
出典:性的少数者「普通」の日常…理解求め 写真展示 : 地域 : 読売新聞(YOMIURI ONLINE)